老人ホームに夫婦で入居する方法や費用、そのメリットとデメリットについて解説します

老人ホームへの入居相談を受ける中で、ご相談頂いた方から長年連れ添った両親が夫婦で入居できる老人ホームを探したいというご相談をいただくケースがあります。

結論から言うと、ほとんどの老人ホームは夫婦で一緒に入居することはできますが、夫婦で一緒に入居しやすいケースとそうでないケースとで分かれてきます。

この記事では、夫婦で入居を進めていく場合の方法や、その方法のメリットとデメリット、夫婦入居に向けた注意点を解説します。

目次

夫婦での入居方法

老人ホームに夫婦二人で一緒に入る場合、大きく2つの方法があります。

<老人ホームへ夫婦一緒に入居するための方法>

①二人部屋に夫婦で入居する

②個室を二部屋借りて、夫婦で入居する

二人(夫婦)部屋に2人で入居する

夫婦入居の方法の1つ目は、二人(夫婦)部屋に二人で入居する方法です。

二人部屋は、扉や仕切りがある部屋と、広いワンルーム型の二人部屋を1部屋として設計されている場合とで分かれてきます。

どちらかというと、扉や仕切りのない広いワンルーム型の二人部屋を提供している老人ホームが多いのが現状です。

二人部屋を設けているホームは全国的に少なく、設けていたとしても部屋数のうちの数室のみという老人ホームが多いのが現状です。

ホームによって二人部屋がある老人ホームの種類

以下の種類の老人ホームに関しては、老人ホームによって二人部屋が設置されている場合があります。

<二人部屋のある場合がある主な老人ホーム>

・ケアハウス(軽費老人ホーム)

・介護付有料老人ホーム

・住宅型有料老人ホーム

・サービス付き高齢者向け住宅

二人部屋がない老人ホームの種類

以下の種類の老人ホームに関しては、そもそも二人部屋が基本的にありませんので注意が必要です。

<二人部屋のない主な老人ホーム>

特別養護老人ホーム(特養)

・介護老人保健施設(老健)

グループホーム

二人部屋に夫婦で入居することのメリット

二人部屋に夫婦で入居することのメリットとして、以下のことがあげられます。

<二人部屋に夫婦で入居することのメリット>

①個室を2部屋借りるよりも家賃や管理費を抑えられやすい

②同じ部屋でずっと一緒に過ごすことができる

③個室にはないミニキッチンや浴室が付いている場合がある

老人ホームに二人部屋がある場合、二人部屋は一般的に家賃や管理費・共益費は個室を2部屋借りるよりも費用が安く設定されていることが多いです。

当然ながら、部屋の中はプライベートが保たれるので、二人部屋の中で夫婦水入らずの生活を過ごすことができます。

そして老人ホームによっては、個室には部屋のスペースの関係上設置がされていないミニキッチンや浴室が、二人部屋の場合は特別に設置されている場合も多いです。

二人部屋に夫婦で入居することのデメリット

二人部屋に夫婦で入居することのデメリットとして、以下のことがあげられます。

<二人部屋に夫婦で入居することのデメリット>

二人部屋の絶対数が少ないため、自分たちの望む場所や費用などの条件に合致した老人ホームが大変である

夫婦どちらかに入院やご逝去による退去が発生した場合でも、実質二人分の家賃や管理費・共益費などを支払わなければならない

夫婦仲に亀裂が生じた場合、転居先を見つけにくい

二人部屋に夫婦で入居する場合、そもそも二人部屋のある老人ホームの絶対数が限られるため、望んだ場所や費用などの条件に合致した老人ホームを探すのが大変です。

また、夫婦のどちらかが入居後に入院して退去になってしまったり、あるいはお亡くなりになってしまった場合、家賃や管理費・共益費といった費用は二人部屋の料金を支払続けなければなりません。

老人ホームはアパートやマンションと同じ賃貸住宅という側面もあります。二人部屋に結果的に1人で住むことになった場合でも、原則として家賃や管理費などが減額されるという措置はないので、注意が必要です。

そして、もし夫婦仲に何らかの原因で仲違いしてしまった場合、継続的な入居が困難になってしまいます。

二人部屋を上記の理由で出なければならない転居先をどのように考えるべきか、1から設計しないとなりません。

1人部屋の個室を2部屋借りて入居する

夫婦入居の方法の2つ目は、1人部屋の個室を2部屋借りて、リビングと寝室を分けて入居する方法です。ほとんどの老人ホームでは、空室さえあれば2人分の個室を借りることができます。

1人部屋の個室を2部屋借りて入居することのメリット

1人部屋の個室を2部屋借りて入居することのメリット>

①入居先の老人ホームの選択肢が増える

②リビングや寝室を分ける、夫婦別部屋にするなど、レイアウトの融通がきく

1人部屋の個室を2部屋借りるとなった場合、圧倒的に入居先の老人ホームの選択肢が増えます。

ほとんどの老人ホームは二人部屋はありませんので、場所や費用に合致する老人ホームはより探しやすくなります。

1人部屋の個室を2部屋借りて入居することのデメリット

1人部屋の個室を2部屋借りて入居することのデメリット

①二人部屋よりも家賃や管理費・共益費が高くなる傾向がある

②入居率の高い老人ホームでは部屋を選べず、2つの部屋が離れ離れになる場合がある

個室を2部屋借りて夫婦で入居する場合、二人部屋よりも家賃や管理費・共益費が高くなる傾向があります。

また、既に入居率の高い老人ホームの場合は、空いている部屋から入居する部屋を選択しなければならないので、ホームによっては最悪フロアが別々の部屋でないとすぐに入居ができないケースも少なくありません。

運良く向かい合わせや隣同士の居室が空いていれば、それはかなりラッキーです。

夫婦で入居する場合の毎月の生活費の目安

老人ホームに夫婦で入居する場合、夫婦割が適用される老人ホームもありますが、原則として食費や生活サービス費、介護保険料などは1人分の費用がかかります。

夫婦入居の毎月の生活費の目安ですが、首都圏以外の地方であれば二人で安くて30万円程度、首都圏であれば40~50万円は見る必要があります。

老人ホームで毎月かかってくる費用の詳細は、下の記事で説明しています。

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夫婦入居を進める時は、原則として重い介護度の方に合わせて入居先を探す

老人ホームに夫婦で入居する場合、最も配慮しなければならない点として、重い介護度の方に合わせて入居先を探すという点です。

極端な例で言うと、ご主人は全くの自立だが、奥様は要介護5という組み合わせの場合、より奥様の介護に対応できるホームを優先して検討しましょう。

これをもしご主人のライフスタイルに合わせて老人ホームを選んでしまうと、自立の方向けの老人ホームでは介護体制が基本的に整っていません。なぜなら、自立の方向けの老人ホームでは、基本的に介護を必要としていない方が住むための仕組みとなっているからです。

その結果、奥様が必要とするケアを満足に受けられなかったり、想定外の費用がかかったり、自宅で生活していた時同様に、あらゆることに右往左往しなければならないことが発生しうる場合があります。

以上のことから、二人の状態に乖離があるほど、夫婦一緒での老人ホームへの入居は慎重に検討する必要があります。

まとめ

・老人ホームによって二人部屋のある老人ホームとそうでない老人ホームがある

・二人部屋と2つの個室を借りるパターンとでメリットとデメリットがそれぞれある

・二人で老人ホームに入居する場合、首都圏以外で月々30万円、首都圏では40~50万円程度が生活費の相場となる

・夫婦の状態が大きく異なる場合は、介護度の重い方を優先して入居先を検討する必要がある

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この記事を書いた人

老人ホーム探しのリアルの中の人。日本のとある地域で数年前より老人ホーム紹介の仕事を始める。現在に至るまで、述べ1,000件以上の老人ホームの入居相談に対応。

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