糖尿病患者の方にとって、毎日のインスリン投与は日常生活の重要な部分であり、老人ホームを選ぶ際、インスリン投与の対応可否は大きな決定要因となります。
自分自身でインスリン投与ができる方の場合、看護師が不在のホームでも入居が可能な場合があります。
しかし、自分自身でインスリン投与を行えない場合は、看護師が毎日常駐している老人ホームでないと看護師によるインスリン投与の対応ができません。
今回は、インスリン投与の対応ができる老人ホームの探し方について、以下で解説していきます。
インスリン対応ができるホームとできないホームがある
インスリン投与には看護師が常駐していることが必須の条件となります。
ただし、老人ホームの種類によってインスリン対応ができるホームとできないホームとで分かれます。
インスリン投与入居相談可能(看護師日中常駐)な老人ホーム
以下の2つのホームでは日中帯は看護師が常駐しており、インスリン投与が対応可能なホームも存在します。
・特別養護老人ホーム
・介護付有料老人ホーム
ただし、24時間365日看護師が常駐しているホームは数としては少ないのが実情です。特に特別養護老人ホームは特別な取り組みを行っていなければ、基本的に看護師は日中のみというのが基本となります。


インスリン投与の対応可否が分かれる老人ホーム
以下の2つのホームでは、制度上は看護師の配置義務はありません。
・住宅型有料老人ホーム
・サービス付き高齢者向け住宅
そのため、看護師が常駐しているという売りや特徴を出したいというホームの方針によって看護師を配置しているホームも存在しますが、看護師が不在であるホームも多く存在します。

インスリン投与の対応は基本的にできない老人ホーム
以下の2つのホームでは、看護師が常駐しておらず、インスリン投与の対応はできません。
・ケアハウス
・グループホーム
ケアハウスは自立している方がそのまま継続して自立して生活できることを目指した自立型のホームであり、そもそも介護や医療が必要な方が入居することができません。
グループホームの正式な名称は「認知症対応型共同生活介護」であり、正式名称の通り、認知症の方に特化したケアを提供するホームとなっています。
グループホームは看護師の配置義務もないため、医療ケアを施すための看護師が常駐しているケースは基本的になく(例外はあります)、認知症を発症しているということは、仮に今はインスリンの自己投与ができていたとしても、認知症の症状の進行によりいつ投与ができなくなるかホーム側としてもわからないということで、インスリン投与が必要な方に関しては原則グループホームに入居することはできません。
インスリン投与の対応方法の主な種類
インスリン投与には固定打ちとスケール打ちという二つの主な方法があります。
固定打ちかスケール打ちかどちらであるかによって、老人ホームを探す難易度はかなり変わってきます。
固定打ち
固定打ちは予め決められたインスリンの投与量を、決められた時間に投与する方法です。看護師が入居者の主治医の指示の元、指定された時間にインスリン投与が必要な入居者に対して投与を行っていきます。
スケール打ち
スケール打ちは、血糖値に応じて投与量を変えるというものです。このため、血統測定を投与の前に必ず行う必要があり、より細かい管理が求められます。スケール打ちを必要とする場合は、血糖測定も含め、より多くの時間を割いてサポートが必要になります。
このため、固定打ちよりもスケール打ちである場合のほうが、同じインスリン投与のケースでも対応の難易度が上がってきます。
看護師によるインスリン投与で最もハードルが高いのは朝(朝食前)の時間帯
一般的に、看護師によるインスリン投与の対応ができる老人ホーム探しで最も課題となるのは、朝食前にインスリン投与が必要なケースです。
多くの老人ホームでは、7時~8時30分頃に朝食の時間帯を儲けています。
一方、多くの看護師のいる老人ホームでは、看護師の常駐時間が9時から18時までとなっており、看護師が不在となりやすい時間帯である朝食前8時前後のインスリン投与に対応できない場合があります。
そのため、朝の時間帯がインスリン投与の対応ができる老人ホーム探しでネックとなるケースは多く存在します。
朝にインスリン投与の時間帯の対応が可能なホームを見つけるためには、以下のポイントを押さえる必要があります。
24時間365日看護師が常駐していること
24時間365日看護師が常駐している老人ホームでは、朝の時間帯のインスリン投与が必要であっても、問題なく対応してもらえるケースが多いです。
24時間365日看護師が常駐している老人ホームは、朝食前のインスリン投与を含め、日中はもちろん、夜間にインスリン投与が必要な場合でも入居相談可能となっています。
朝食の時間帯をずらす対応ができるかどうかを相談する
老人ホームによっては、朝食の時間帯を看護師が出勤している時間帯にズラして、それによって朝の時間帯のインスリンの自己投与が必要な方でも入居OKとしている老人ホームも存在します。
一方で、朝食の時間帯をずらす対応を取ることによって、食事の衛生面のリスクも発生するため、朝食の時間帯をずらす対応を一切とっていない老人ホームも多いです。
まずはそのような対応ができるかどうかを老人ホーム側へ相談してみましょう。ただし、対応の強制や無理強いは絶対禁物です。
主治医とインスリンの回数や時間帯の変更、服薬のみに切り替えにできるかを相談する
既に朝の時間帯にインスリン投与を行っている場合、希望する老人ホームが朝食前の時間帯に対応できないと言われてしまうケースも存在します。
入居希望の老人ホームでどうしても朝の時間帯のインスリン投与の対応が難しい場合は、その場合は速やかに主治医に相談し、投与時間の変更や回数を減らして日中帯だけにする、服薬のみにできるかどうかを確認することが重要です。
インスリン投与に対応できる具体的な老人ホームの探し方の方法
インスリン投与に対応できる具体的な老人ホームを知りたいという方には、以下の方法をおすすめします。
老人ホームの検索サイトで検索する
老人ホームの検索サイトでは、47都道府県の老人ホームの情報を一括で検索することができます。
検索して老人ホームの詳細ページを開いたら、「看護師日中常駐」「24時間看護師常駐」「24時間ナース」と書かれた老人ホームに絞って検討しましょう。
この表記のない老人ホームは看護師が常駐しておらず、インスリン投与の相談ができないケースが多いです。
老人ホームの紹介会社に相談する
老人ホームの紹介会社は、老人ホームに特化した不動産屋さんのイメージで運営されており、多くの老人ホームの情報を持っています。老人ホーム検索サイトには出てこない老人ホームの情報も持ち得ている場合があります。
まとめ
・インスリン投与の対応の相談ができるのは、看護師が老人ホーム内に常駐しているホームである
・ケアハウスやグループホームはシステム上看護師が不在となっており、インスリン投与の対応はできない
・インスリン投与に関する入居相談で最もネックとなるのは朝の時間帯のインスリン投与がある場合
・希望する老人ホームで朝の時間帯のインスリン投与が対応できないと言われた場合は、速やかに主治医に対応方法を相談する必要がある