老人ホームへ入居する際、入居申込を行えばそのまま入居できるわけではありません。
書類の提出や本人面談を行い、入居審査を経て入居OKとなり、更に入居契約を締結しなければなりません。
本記事では、老人ホームにおける入居契約の詳細について解説します。
入居手続きの全体の流れや入居契約時の主な持参物は↓の記事にまとめていますので、合わせてご参照ください。

老人ホームとの契約時間は通常2~3時間かかる
中の人も何度もお客様の老人ホームとの入居契約に立ち会ったことがありますが、契約時間は通常2~3時間程度かかることが多いです。
時間がかかるので、余裕を持って時間設定できるスケジュールを確保しておいたほうが良いです。
住まいに関する契約
老人ホームでは居室を1部屋借りて生活を行うことになります。住まいに関する契約を行います。
基本料金の月額費用の確認
家賃、食事、管理費等の基本料金の月額合計と、その内訳の確認を行います。
初期費用と毎月の支払い方法の確認と口座振替手続き
入居時の初期費用、毎月の支払いスケジュール、口座引き落としの場合の口座振替手続きを行います。
生活ルールの確認
外出時のルールや食事の時間帯など、老人ホームにおける生活ルールの確認を行います。
緊急時の対応や医療連携の確認
緊急時の対応や、入居後に入院が発生した場合のルールの確認を行います。
契約解除の条件の確認
退去や契約解除の条件、クーリングオフ期間に関する確認、共有を行います。
退去に関する大きな注意点
退去は通常、退去日の1ヶ月前または2ヶ月前に退去の申し出をしなければならないという文言が契約書に明記されていることが多く、契約が完全に終了するまでは引き続き家賃等の支払いは発生するので、注意が必要です。
運営懇談会
老人ホームによっては利用者の声を反映させるための年間懇談会を行っている場合があり、どのようなスケジュールなのかなどの確認を行います。
身元引受人や連帯保証人の役割の確認
身元引受人や連帯保証人に関する役割の共有と確認を行います。

介護に関する契約
老人ホーム入居にあたって、お世話をしてもらうヘルパーさんに関する契約や、介護のケアプラン作成に向けて、居宅介護支援事業所との契約を行います。
介護全般(訪問介護)に関する契約
老人ホーム入居後に介護を受けるにあたって、介護保険に関すること、ヘルパーさんにどのようなことがお世話してもらえるのかなど、介護全般に関する契約を締結します。
居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)との契約
老人ホーム入居時に新たに介護を受けたりケアマネジャーが就く場合、居宅介護支援事業所というケアマネジャーの事業所とケアマネジャーの利用に関する契約を締結します。
ケアプランの作成
介護保険を通じて、担当するケアマネジャーが介護レベルに応じて、個々のニーズに合わせた最適なケアプランを作成します。ケアプランの作成には費用はかかりません。
福祉用具の調整
介護ベッド、マット、手すり、車椅子など、生活の質を向上させるための福祉用具をどうするか、ケアマネジャーと調整を行っていきます。
看護サービスの確認
看護師によるケアが発生する場合、健康管理や医師の指示に基づく医療行為の確認を行います。
訪問診療(往診)のクリニックとの契約
訪問診療を利用する場合
老人ホームの多くは地域の内科のクリニックと提携しており、そのクリニックと契約を行うことで、月1~2回程度クリニックの担当医が老人ホームに訪問し、老人ホーム内で診察を受けることができます。これを訪問診療と言います。
訪問診療の利用を希望する場合は、訪問診療の契約も入居契約時に行うケースが多いです。
そもそも訪問診療の利用は必須ではない
老人ホーム入居時に確認されやすい訪問診療の利用の有無ですが、必ずしも訪問診療を利用しなければならない法的な強制力はありません。慣れ親しんだ先生に引き続きお願いしたい場合は、そのままその先生の受診を行うことは問題ありません。
ただし、老人ホームによっては訪問診療の利用を事実上必須としている老人ホームも中には存在しますので、入居前に事前に必ず確認しておきましょう。
薬局との契約
訪問診療を行うクリニックと契約を行う際は、提携している薬局もセットで契約を行うことが多いです。
薬局と契約を行うと、クリニックからの薬の処方箋を受け取り次第、定期的に入居先の老人ホームへ運んでくれるので、いちいち薬をホームへ届けに行かなくても良いというのが大きなメリットです。
まとめ
老人ホーム入居において、入居契約は欠かせないステップとなります。通常のアパートやマンションの賃貸借契約とは異なり、介護や医療に関する契約も締結していくことが多いため、契約に向けた準備もより多くなります。契約の準備は早め早めに行うようにしましょう。この記事がその準備の参考になれば幸いです。