食事は日々の生活に欠かせないものです。最も大きな楽しみとなる要素の1つであり、老人ホームの入居者の健康と生活の質に大きな影響を与えます。老人ホームでは、主に二つの食事提供方法、クックチル方式と施設内調理方式が採用されています。
この記事ではクックチル方式と施設内調理の違いや老人ホームでの食事ルールなどについて解説します。
クックチル方式
「クックチル方式」とは、調理後の食品を90分以内に中心温度が3℃以下になるように迅速に冷やし、その後0〜3℃の範囲で清潔に保持しておく方法です。クックチル方式では、外部の食品工場で調理された食事を真空状態で老人ホームに運び、湯煎で温めて利用者に提供します。
クックチル方式は比較的安価に利用できる老人ホームで導入されているケースが多いです。
ただ、筆者もとある老人ホームでクックチル方式の食事を試食させて頂いたことがありますが、予想よりも美味しかったので、よほど食事にこだわりのある方でなければ、クックチル方式でも概ね問題無いのではないかと考えています。
<クックチルのメリットとデメリット>
メリット:大量調理が可能でコストダウンができる、食品衛生管理が徹底されている
デメリット:味の多様性や個別のニーズへの対応が限られる、湯煎のためおかずの温かさにムラが出る場合がある
施設内調理方式
施設内調理では、老人ホーム内の厨房で外部業者または専任スタッフによって手作りの食事が提供されます。
美味しいご飯を召し上がってほしいという思いを持ち、少し費用がかかっても施設内調理にこだわるという老人ホームも数多く存在します。
以前施設内調理で提供されている老人ホームで試食を何度かさせて頂きましたが、味はどのホームも美味しく提供されていました。クックチル方式も悪くありませんが、やはり手作りかつ出来立ての食事に勝るものはありません。

<施設内調理のメリットとデメリット>
メリット:出来立てが提供され味が美味しい、個々の好みや栄養ニーズへの対応がしやすい
デメリット:人件費や設備等のコストがかかり、クックチル方式よりも食費が高くなる
施設内調理の1ヶ月あたりの食費の目安
老人ホーム内で手作りで食事を提供している場合、1ヶ月あたりの食費は最低6万円程度に設定されています。
1ヶ月あたりの食費が6万円未満の場合は、クックチル方式を採用している可能性が非常に高いです。
食事時間とルール
老人ホームでは食事時間が決められていることが多く、朝食は7~8時、昼食は11時~12時、夕食は17~18時が一般的な食事提供の時間帯です。スタッフが数名食堂で見守りながら、必要な方には食事介助を介護保険サービスや老人ホームのオプション扱いで提供します。
老人ホームでは誤嚥性肺炎のリスクを低減するために、要介護者には原則として食堂での食事を召し上がって頂くことがルールとされていることが非常に多いです。
特別食と糖尿食
主に一口大、きざみ食、ソフト食、ミキサー食、ペースト食などがあり、これらは無償で対応する老人ホームも中にはありますが、通常は別料金で提供されています。
また、糖尿病患者向けのメニューを提供している老人ホームはコストの関係で少ないですが、老人ホームは基礎疾患を持った方が入居されることを想定しているので、予め塩分を1日6g未満に抑えたメニューが提供されており、糖尿病患者も安心して食事を楽しめるように工夫されている老人ホームが多いです。
まとめ
食事は日々の生活に彩りを与えるものですが、老人ホームによってその提供方法は異なります。特に食事にこだわりの強い方の場合は、どんな方法やルールで食事提供を行っているかを入居前によく確認するようにしましょう。