お客様から老人ホームの入居相談をいただく中で、費用とともに多くの方が気にされるのが『老人ホームのリハビリ体制』です。
今以上に介護が必要とならないように日々リハビリをしてほしい、そのような老人ホームはあるかというご質問やご希望は本当に多いです。
結論から言うと、老人ホームでのリハビリは『ホームの考え方』によって方針や提供しているサービスの仕組みは大きく異なります。
本記事では、老人ホーム入居後にリハビリを受ける方法について解説します。
そもそも老人ホームの本質とは?
老人ホームに入居した後のリハビリに関する考え方の理解を深めるためには、まずホームの本質を理解することが重要です。
老人ホームの本質は、リハビリを主目的とした場所ではなく、生活の場です。
老人ホームは入居者が安心して生活を送れるために、入居者ができないことに対しては介護や医療などの提供を通じて、生活のサポートを行っていくということを念頭に置く必要があります。
したがって、多くの老人ホームでは、まずは24時間365日、入居者が老人ホーム内で不自由なく快適に生活を過ごせるためのサービス(介護や医療)について何が必要かを最優先に考え、リハビリはその次の優先順位となってきます。
一方で、現在の入居者ニーズに合わせて、リハビリに力を入れている老人ホームも年々増えています。
老人ホームにおける一般的なリハビリの考え方
前述の通り、多くの老人ホームでは、入居者が不自由なく毎日の生活を営めることを最優先に考えます。
そのため、老人ホームへの入居後は、リハビリについては多くの場合介護保険サービスを利用してというよりは、日常生活の一部として取り入れていくという考え方が一般的です。
例えば、以下のような行動をできる方に関しては自ら行っていただくことで、それ自体がリハビリであること、その上で自立した生活、介護状態の予防を図るというのが一般的な考え方です。
<老人ホームにおける生活リハビリの例>
・自分自身で手すりや杖、歩行器を使用して歩く
・車椅子を自ら漕いで移動する
・お箸やスプーン、フォークなどを使って食事を取る
・ズボンやシャツ、パジャマに自分で着替える
・洗濯物を畳む
・部屋の中を掃除する
老人ホーム内でリハビリのある老人ホームとは?
結論から言うと、以下の介護施設ではリハビリが行われていることが多いです。
<リハビリがある主な介護施設(老人ホーム)>
・介護老人保健施設(老健)
・介護付有料老人ホーム
介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設(老健)では、身体機能回復のためのリハビリをすることが施設利用の目的となっています。
一般的には、約3ヶ月かけてリハビリを行っていきます。逆に言うと、基本的には3ヶ月以内で原則施設を出なければなりません。
下の記事で介護老人保健施設(老健)については詳しく解説しています。

介護付有料老人ホーム
介護付有料老人ホームでは、リハビリを週数回リハビリを行っているホームもあります。
一方で、中にはホームの方針でリハビリを実質行っていないホームもあります。
気になる方は日々のリハビリについて、見学の時に確認しておくことが必要です。

リハビリのある老人ホームの探し方
それでも、リハビリをして今の状態を最低でもキープしてほしいというご希望の方はご相談の経験上、多くいらっしゃると思います。
最も手っ取く調べる方法は、以下の3つの方法です。
<リハビリのある老人ホームの探し方>
①老人ホームの紹介会社に相談する
②Google検索などで「希望エリアの市区町村+老人ホーム+リハビリ」で検索する
③老人ホーム(介護施設)のポータルサイトで「希望エリアの市区町村+リハビリ」で検索する
上記を踏まえたうえで、更に詳しく解説します。
老人ホーム独自でリハビリプログラムを導入している老人ホームへ入居する
最近では利用者(またはその家族)からのリハビリニーズを把握して、老人ホーム内に専用のリハビリルーム(ジム)を設置して、リハビリの先生の指導を受けられる老人ホームも増えてきています。
外部のリハビリデイサービス(デイケア)を利用する
リハビリデイサービス(デイケア)の利用
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、制度上外部のデイサービスを利用することは問題ないので、外部のリハビリデイサービス(デイケア)に通ってリハビリを受けることは1つの選択肢となります。

また、リハビリデイサービス(デイケア)をホーム内に併設しているホームもあり、その場合はホーム内で介護保険を利用してリハビリを受けることができるホームもあります。
ケアマネジャーや老人ホームに対してリハビリデイサービス(デイケア)の希望を伝えた上で、リハビリデイサービス(デイケア)の利用を組み込んだケアプランを作成して、週数回リハビリデイサービス(デイケア)でリハビリを受けることができます。

訪問リハビリの利用
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、訪問リハビリを利用してリハビリの先生に老人ホームに来てもらい、老人ホームの中でリハビリを受けることもできます。
リハビリデイサービス(デイケア)や訪問リハビリを利用する場合の注意点
リハビリデイサービス(デイケア)や訪問リハビリを利用する場合の注意点としては、介護保険の上限を超えて、自費での利用(10割負担)が発生する可能性がある点です。
リハビリデイサービス(デイケア)や訪問リハビリの介護保険の点数は高めに設定されており、入浴介助や排泄介助など、日常生活で必須となる介護をケアプランで組み合わせると、介護保険は介護認定毎に点数の上限があるため、介護保険の枠を大きく超えてしまう場合があります。
介護保険の枠の上限を超えた介護サービスは全て自費(10割)負担となるので、老人ホームの入居後にどのようにリハビリを組み込んでいくかは、必要な介護とのバランスを鑑み、ケアマネジャーや入居先の老人ホームとよく相談が必要です。

医療保険適用の訪問マッサージ(リハビリ)サービスを利用する
あまり知られていませんが、条件付きで、医療保険を適用した訪問マッサージと呼ばれるを利用してリハビリを受ける方法もあります。
週に数回30分を目安に、訪問マッサージを利用することで、マッサージ以外にもリハビリを受けることも可能です。
下記の方が、訪問マッサージを利用できる可能性のある主な対象の方となります。
<訪問マッサージを医療保険で利用できる可能性のある主な対象者>
要介護認定のある方
杖・歩行器を利用されている方
車いすを利用されている方
寝たきりの方
精神疾患のある方
視覚障害者の方
公共交通機関を利用するのが難しい方
訪問マッサージ利用上の注意点
しかし、訪問マッサージのサービスを医療保険で利用するには、かかりつけ医による特別指示書が必要となります。
また、上記条件に該当していたとしても、かかりつけ医の先生から必ず特別指示書を書いてもらえるわけではないので、訪問マッサージの利用にあたっては、Google等で検索して、最寄りの地域の訪問マッサージの事業所へ相談してみるのが良いでしょう。
『(最寄りの)〇〇市区町村+訪問マッサージ』で検索すると、地域の訪問マッサージ事業所を検索することができます。
まとめ
老人ホームの本質は生活の場であるため、一般的な老人ホームではリハビリの優先順位は下がり、自立した生活こそリハビリになるという考えが根底にある
介護老人保健施設(老健)はリハビリ目的の介護施設であり、3ヶ月間はリハビリを受けられる
介護付有料老人ホームはホームによりリハビリの温度感は異なる
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅ではリハビリデイサービス併設型など、リハビリに力を入れているホームも増えている
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅入居後にリハビリデイサービスや訪問リハビリを多く入れると自費負担が発生する可能性が高い
医療保険で訪問マッサージを利用することでリハビリを受ける方法もあるが、利用条件としてかかりつけ医の特別指示書が必要である