老人ホームの入居相談を受けている中で、多くのお客様が気にされているのは、やはり毎月の料金です。
結論から言うと、毎月の基本料金や介護保険料、その他諸経費を足して、地方の老人ホームでも最低でも15万円前後は生活費として見て頂いたほうが良いです。首都圏は当然ながらもっと生活費はかかります。
それでは、今から解説します。
民間の老人ホームで安いホームはどれ?
まず前提として、民間の老人ホームは、主に下の表の種類に分かれています。
<主な老人ホームの種類(民間)>
・介護付有料老人ホーム
・住宅型有料老人ホーム
・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
・グループホーム
それぞれの老人ホームの詳細は、下の記事を参照ください。



この中で、比較的料金が安いのは「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」のいずれかであることが多いです。
老人ホーム入居後にかかる主な毎月の基本料金
老人ホームに入居すると、老人ホームで生活する上での基本料金として、主に下の項目の支払が発生します。
<老人ホームへ支払う主な毎月の基本料金>
①家賃
②管理費・共益費
③食費
④生活支援サービス費
①家賃
家賃は一言に、「部屋の賃貸料」です。
入居者は老人ホームから1部屋を借りて、その部屋で生活をしていくことになります。一般的な賃貸アパート、マンション同様に、ある程度その土地土地の家賃相場に比例しています。
②管理費・共益費
老人ホームに入居すると、管理費または共益費、またはその両方がかかってきます。
管理費や共益費には、主に以下の費用が含まれています。
<管理費や共益費に含まれる主な内容>
・共用スペースの維持費(清掃・劣化したクロスの補修費用等)
・共用スペースの水道光熱費
・部屋内での水道費
・老人ホームで働くスタッフの人件費
管理費や共益費については、特に人件費が含まれてくる分、賃貸アパートやマンションよりも費用がかかってきます。
「管理費・共益費=安心料」と言っても良いかもしれません。
③食費
食費は、朝昼晩の食事の1ヶ月分となります。
老人ホームによっては昼食後におやつが提供され、そのおやつ代が食費に含まれている場合もあれば、おやつ代は別請求となっている場合もあります。
④生活支援サービス費
サービス付き高齢者向け住宅には、前提として「1日1回の安否確認」「生活相談(=相談員の配置)」が義務付けられており、その対価として、「生活支援サービス費」が設定されていることが多いです。
その他、生活相談サービス費には、以下のものが含まれていることが多いです。
<生活相談サービス費の主な中身>
・受付業務(フロント対応)
・安否確認(老人ホーム内の定期巡回)
・緊急時対応(119番や身元引受人への連絡)
・入居者への郵便物の一括受け取り、部屋への配布
要するに、介護以外での一部の身の回りのお世話の部分ですね。
大きく①・②・③・④の4つ、または①・②・③の3つが、老人ホームで生活する上で、毎月必ずかかってくる入居費用となります。
基本料金は安くてどれぐらいかかる?
結論から言うと、基本料金は地方に行くと安くて10万円前後です。
首都圏では、家賃がどうしても高くなりますので、当然相場は上がります。
基本料金以外にかかる生活費
基本料金以外には、主に以下の生活費がかかってきます。
<基本料金以外にかかる生活費>
・介護保険料
・医療費
・部屋の中の電気代
・その他日用品(消耗品)
・オプション料金
介護保険料、医療費、部屋の中の電気代、その他日用品、そしてオプション費などがかかってきます。
介護保険料
介護保険料は、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に関しては、個々で利用した介護保険サービスに応じて利用料金が変動します。
介護保険料は仕組みが非常にややこしいので、詳しくは別の記事で解説します。
医療費
医療費は老人ホームに支払うものではなく、主にかかりつけ医に受診したり、薬を処方してもらうなどで発生する費用です。その費用も生活費に含めて考えておきましょう。
部屋の中の電気代
老人ホームによっては、部屋の中の電気代は管理費や共益費に含まれる場合もあれば、個別に電力会社と契約して、電気代を実費で支払う必要がある老人ホームもあります。
その他経費
代表的なのは、日用品(消耗品)です。
老人ホームでは、一般的にお部屋の中は空っぽであり、賃貸アパートやマンション同様、日用品(消耗品)は準備されていないので、生活に必要なものは入居者本人や身元引受人が補充、購入をしなければなりません(老人ホームによっては例外は勿論あります)。
オプション料金
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)では、オプション料金と呼ばれる料金が設定されている場合があります。
オプション料金は、主に部屋についているナースコールによるスタッフの対応が発生した場合、発生するケースが多いです。
1番多いのは、トイレの介助。トイレのお世話が発生したら1回あたり数百円頂きますとしている老人ホームも一定数あります。※こういう料金設定をしている老人ホームが悪いのではなく、サービスに対する考え方の問題です。
突発的な介護に対しては、介護保険は適用されません。
そのため、ナースコール対応はオプション料金として、対応する毎に別途料金が発生し、それが結果として多額の請求に繋がる場合がありますので、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を検討される場合、必ず事前に確認をするようにしましょう。
基本料金以外にかかる生活費
基本料金以外にかかる生活費は、入居者の介護認定によっても変わってきます。
例えば、要介護1で介護保険負担割合が1割の場合であれば、特別なことが無い限り、3~4万円をみれば十分に生活ができるはずです。
地方なら、基本料金10万円前後+基本料金以外にかかる生活費
結論として、地方の老人ホームで安くて月々13~14万円、首都圏は+数万円は生活費として見ないといけません。
料金に対してサービスの質は比例する傾向にある
また、一概に安い老人ホームのサービスが悪いわけではありませんが、サービスの質と料金はある程度比例します。
最も大事なことは、料金だけで老人ホームを探すのではなく、今後どうしたいのかを整理して、老人ホームを検討していくのが良いでしょう。