老人ホームへの入居手続きを進めるにあたり、入居審査の一環として老人ホーム側が行う本人面談は、入居に向けてのプロセスとして欠かせないものです。その人の健康状態や日常生活の自立度、そして何よりもその人が集団生活に馴染み、新しい環境で過ごせるかどうかを把握するために行われます。では、具体的にどのような点が審査されるのでしょうか。
※これが全てではなく、老人ホームによっては個別に独自の内容のヒアリングを用いる場合があります。
老人ホームが本人面談時に主にチェックする項目
入居予定の本人が老人ホームへの入居に納得しているか?
入居予定の本人が、老人ホームへの入居に納得しているか。これが全てと言っていいぐらい、重要なポイントです。
本人面談の際に入居予定の本人から強い拒否反応が出ている場合、老人ホーム側としては無理やり入居を進めていくことは困難です。
必ず本人に対しては、老人ホームとの本人面談前に入居に向けた説得を行いましょう。
認知状態とコミュニケーション能力の確認
入居審査では、短期記憶の低下の有無や認知面でのコミュニケーション能力は評価されます。認知状態は、日々の生活やスタッフや他の利用者とのコミュニケーションに大きな影響を及ぼしますので、この点は非常に重要です。
帰宅願望の有無
入居希望者が認知症がある場合、帰宅願望を持っているかどうか、そしてそれがどのように表れるかも審査の対象となります。言葉に出るだけでなく、実際に玄関から外に出ようとする(もしくは出てしまう)、強い抵抗を示して暴言や暴力などの行動に出ないかを見ます。
日常生活動作(ADL)の自立度
食事、排泄、入浴、着替など、日常生活動作の自立度もチェックされます。例えば、特別な食事制限が必要(糖尿病による塩分調整等)かどうか、食事がどの程度召し上がれるか、トイレは自分で行けるのか等、様々な自立度も考慮されます。
問題行動やトラブルの有無
自宅や入院中の場合は病院、入所中の施設での行動パターン、特にトラブルを起こした歴史があるかどうかも確認されます。声を荒げたり、スタッフに抵抗して暴力を振るうような行動がなかったかがチェックされます。
睡眠状態
夜間の睡眠がしっかりとれているか、昼夜逆転の生活をしていないかも審査されるポイントです。
既往歴と医療行為、服薬の有無
糖尿病などの既往歴や、日常的な医療行為が必要かどうか、日々服用している薬についても確認されます。これは、ケアプランの作成や緊急時の対応に必要な情報です。
福祉用具のニーズ
使用している、または必要としている福祉用具についても審査されます。ツーモーターの介護ベッドや車椅子、手すりの有無など、入居者の快適さと安全を確保するために必要な情報です。
まとめ
このように、老人ホームの本人面談では、まずは入居する本人が入居に納得しているかを判断した上で、入居者一人ひとりの個別のニーズに合わせたケアが提供できるかどうかを見極めるために、多角的な観点から総合的な評価が行われます。それは、ただ単に医療的な観点だけでなく、心のケアや社会的な側面も含めたアプローチが求められるからです。入居者本人が新しい環境で快適に生活できるように、これらの審査は極めて重要なプロセスです。