生活保護を受給する高齢者の方が入居できる老人ホームは、結論から言うとあります。
本記事では、特別養護老人ホーム、ケアハウス、民間の老人ホームといった施設において、生活保護を受給している高齢者の方の入居条件について、詳しく解説していきます。
特別養護老人ホーム(特養)の場合:相部屋であれば基本的に相談可能
特別養護老人ホーム(特養)の場合、大前提として、入居条件として「要介護3~5」の介護認定が必要です。その上で、特別養護老人ホームは相部屋であれば原則入居が可能です。
ただし、現在は新設される特養では個室のみの施設も多く、その場合は実質的に特養でもその施設へは入居ができない場合があります。
各市区町村のホームページに、特別養護老人ホームのリストが掲載されているケースも多いので、ネット上で情報収集の上、わからないことは直接施設に問い合わせてみるのが良いでしょう。
地域包括支援センターや市区町村の役所、支所は、公である立場上、直接の施設の斡旋はできないので、施設リストの受け取りのみで終わり、結局は自分達で施設を当たっていく必要があります。また、数百人単位で待機者のいる特養も多く、入居できるタイミングは自分たちでコントロールできないと考えたほうが良いでしょう。

ケアハウスの場合:生活保護受給の高齢者でも相談可能な施設とそうでない施設とで分かれる
ケアハウスは公的施設にあたり、中には生活保護受給者の方でも入居相談ができる施設も存在します。
介護認定を受けていない自立の方や、要支援認定の方でも相談ができます。ただし、ケアハウスは利用料金が安価であるため、満室で待機者も多数いるケースも少なくありません。また、緊急時に動いてもらえる身元引受人を最低1名は必須としている施設も多いです。

民間の老人ホームの場合:入居可能な地域、ホームの数は限られる
住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホームなどの民間の老人ホームでも、一部生活保護の方でも入居相談可能としているホームも存在します。
ただし、生活保護を受給している高齢者の方の老人ホームの受け入れ先は非常に限られるため、常時満室で待機者も複数いるのが老人ホームの実情です。
また、市区町村によっては行政が生活保護を受給されている高齢者の方の老人ホームへの入居を認めていない場合もあります。


生活保護を受給している高齢者の方の老人ホームへの入居条件とは?
介護認定:原則、要介護認定以上であること
生活保護を受給している高齢者の方が民間の老人ホームへ入居を進める場合、「要介護1~5」の介護認定があることを入居条件としているホームがほとんどです。自立の方や要支援1・2の方の場合、受け入れ先は難航し、ケアハウスが現実的な選択肢となります。
集団生活を営む上で問題行動がない
老人ホームへの入居後に認知症による徘徊や他の入居者の居室に入られてしまう、また暴言暴力といった問題行動が出てくる状況が想定される場合、入居自体を断られるケースがあります。そのようなケースが想定される場合は、事前に老人ホームへ入居検討者本人の問題行動に関する相談が必要があります。
身元引受人(身寄り)の方がいるかどうか
原則として、老人ホームへの入居には身元引受人(身寄り)の方が最低1名必要となります。
入居を希望しても身寄りの方が不在の場合、後見人を立てて頂く必要があります。中には身寄りの方不在のまま入居相談もできますが、入居後の後見人制度の手続きは実質的に必須となります。
他の市区町村からお呼び寄せの場合:行政での移管手続きが行えること
例えば、他の市区町村からのお呼び寄せで老人ホームへ入居する場合、転入先・転出先の役所にて生活保護や住民票の移管手続きが必要です。移管手続きは家族または後見人の方が行う必要があります。また、市区町村によっては引越し費用が生活保護の中で賄えず、その場合は家族が立て替え払いを行う必要となる可能性があります。
各ホームへの申込み方法
生活保護受給者の方でも入れる老人ホームには、一般の方同様に個別に入居を希望する老人ホームへ問い合わせの上、入居申込を行います。
入居申込や手続きの流れは↓のページで詳しく解説しています。

まとめ
・生活保護受給者の方でも入居できる老人ホームはある
・どの老人ホームも常に満室であることが多く、入居のタイミングはホームの空室状況に左右される
・ケアハウスは自立の方でも入れるが、その他の老人ホームは要介護認定が最低限必要となる
・入居にあたっては原則、身元引受人(身寄り)の方が最低1名必要で、不在の場合は入居後に成年後見人を立てていく必要がある