小規模多機能型居宅介護とは? わかりやすく解説します

最近のサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームでは、小規模多機能型居宅介護が併設したホームとして運営されている所も増えています。

小規模多機能型居宅介護というと中々聞き慣れない介護サービスですが、今回は小規模多機能型居宅介護の特徴について説明します。

目次

小規模多機能型居宅介護(小多機)とは?

小規模多機能型居宅介護とは、自宅と訪問介護(ヘルパー)・デイサービス・ショートステイを三位一体で利用できる、介護が必要な人々が自宅での生活を継続できるように支援する介護サービスです。

介護の必要度が中度から重度になっても、利用者ができるだけ自宅で暮らし続けられるよう支援するのが目的となっています。

例えば、小規模多機能型居宅介護を自宅に住んでいながら利用する場合、火曜日と木曜日はヘルパーに自宅に訪問してもらって介護を受け、月曜日と水曜日とはデイサービスを利用、金曜日は1泊するといった形で、1つの事業所が介護・デイサービス・ショートステイの介護サービスを提供しています。

では、このサービスの利用条件について、詳しく見ていきましょう。

小規模多機能型居宅介護の利用条件

小規模多機能型居宅介護を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。

①事業所と同じ居住地である

小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスとして位置づけられており、小規模多機能型居宅介護を利用するためには、利用する事業所と同じ※市区町村の居住地の住民票が必要です。

※東京23区では居住地と異なる区にある小規模多機能型居宅介護を利用することはできませんが、政令指定都市の場合は異なる区であっても同じ市内であれば利用は可能です。

②要支援または要介護の介護認定がある

小規模多機能型居宅介護を利用するためには、要支援もしくは要介護の介護認定を受けている必要があります。介護認定が無い方が小規模多機能型居宅介護を利用することはできません。

小規模多機能型居宅介護の毎月の利用料金の目安

小規模多機能型居宅介護の毎月の利用料金は、利用した介護サービスの数や量ではなく、介護認定がベースとなっています。

<小規模多機能型居宅介護の毎月の利用料金の目安>※地域によって異なります

要支援1:3,500円前後

要支援2:7,000円前後

要介護1:11,000円前後

要介護2:16,000円前後

要介護3:23,000円前後

要介護4:26,000円前後

要介護5:29,000円前後

上記の介護認定毎のベースの利用料の他に、以下の加算が毎月数百円~数千円程度費用負担が発生する場合があります。

<小規模多機能型居宅介護における主な加算>

訪問体制強化加算

総合マネジメント体制強化加算

サービス提供体制加算

認知症加算

若年性認知症利用者受入加算

科学的介護推進体制加算

看護職員配置加算

初期加算

小規模多機能型居宅介護で併用可能な介護保険サービス

小規模多機能型居宅介護は訪問介護やデイサービス、ショートステイの利用が主体となりますが、それ以外にも以下のサービスについては併用することが可能です。

訪問看護・訪問リハビリ

ケアマネジャーが作成したケアプランに基づいて、訪問看護師や理学療法士が自宅を訪問し、医療行為やリハビリテーションを提供します。

居宅療養管理指導


居宅療養管理指導は、医師が自宅での療養が必要な、介護や支援が必要な人々の家を訪れ、その人の健康状態や生活環境を理解した上で、その人が自宅でできる限り自立した生活を送れるように、健康管理や日常生活に関するアドバイスや指導を提供し、より良い療養生活をサポートする活動です。

福祉用具のレンタル

日常生活を支援するための福祉用具(介護ベッドや車椅子など)を介護保険を利用してレンタルすることができます。

※介護ベッドや車椅子を介護保険を利用してレンタルするには、要介護2~5の認定が必要です。

住宅改修

手すりの設置や段差の解消など、安全に自宅で生活するための改修が可能です。

小規模多機能型居宅介護併設の老人ホーム利用のメリット

冒頭で、小規模多機能型居宅介護が併設している老人ホームが増えているとお伝えしました。

小規模多機能型居宅介護が老人ホームに併設していると、以下のようなメリットがあります。

低い介護度でも同じホーム内でデイサービスを週数回利用できる

筆者としては、1番このメリットが大きいと考えています。例えば要支援の方の場合、自宅から一般的なデイサービスを利用する場合、介護保険の点数の関係上、多くても週2回が限度です。

しかし、老人ホームに併設された小規模多機能型居宅介護を利用する場合、要支援の方でも週3回以上デイサービスを利用することも可能となります。

屋外に出ることなくホーム内で移動が完結する

昨今の日本は暑い時期や寒い時期が長く、移動するだけで暑さや寒さで利用者への負担がかかってしまいます。しかし、小規模多機能型居宅介護がホーム内に併設していれば、外出せずにホーム内で移動が完結するため、利用者への負担を軽減することができます。

一般的な老人ホームより利用者を見守る時間が長

一般的なサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームに比べて、小規模多機能型居宅介護が併設しているホームの場合、利用の柔軟性から、デイサービスの利用頻度が多くなる傾向があります。

また、小規模多機能型居宅介護は1日あたりに利用できる利用人数の上限が決まっており、少人数でこじんまりとしているため、その結果、利用者を見守る時間が長くなり、例えば認知症を発症していて人の目、見守りがある環境が望ましい方に関しても、比較的落ち着いて生活しやすい仕組みとなっています。

小規模多機能型居宅介護併設の老人ホーム利用のデメリット

利用者本位で柔軟な介護サービスである小規模多機能型居宅介護ですが、デメリットも存在します。

ケアマネジャーが自動的に交代となる

小規模多機能型居宅介護を利用する場合、その事業所に所属のケアマネジャーと契約を結びます。つまり、外部の居宅介護支援事業所(=ケアマネジャーの事業所)のケアマネジャーが担当することはできません。今まで担当していたケアマネジャーがいた場合、小規模多機能型居宅介護の利用のルール上、自動的に交代となります。

別の訪問介護やデイサービス、ショートステイは利用できない

小規模多機能型居宅介護の利用を開始する場合、他の事業所の訪問介護やデイサービス、ショートステイのサービスを併用して利用することができません。今まで利用していた訪問介護やデイサービス、ショートステイがあり、その事業所のサービスやスタッフを気に入っていたとしても、サービスの継続はルール上できなくなっています。

ケアマネジャーやスタッフと合わなかった場合、実質的に選択肢がない

上記の通り、小規模多機能型居宅介護はサービスそのものの柔軟性はあり、利用者本位の介護サービスと言えますが、一方で日々のコミュニケーションや介護サービスを提供するのは小規模多機能型居宅介護のケアマネジャーやスタッフであり、ケアマネジャーとスタッフが合わなかった場合、充実した生活を送ることが困難となってしまいます。

小規模多機能型居宅介護併設の老人ホームに入居を検討する場合は、見学の際にできるだけどんな人がスタッフとしているのかよく観察して、できるだけ窓口の方に質問をぶつけて入居後のミスマッチを防ぐようにしましょう。

小規模多機能型居宅介護のまとめ

・小規模多機能型居宅介護とは、訪問介護・デイサービス・ショートステイが三位一体となった介護サービスである

・デイサービスの利用頻度や見守りなど、利用者本位の柔軟な介護サービスを提供できる

・小規模多機能型居宅介護併設ホームでは、見守り環境があり、屋外に出ることなくデイサービスエリアに移動でき、利用者への負担が軽減できる

・ケアマネジャーは自動的に交代となり、他の事業所の訪問介護・デイサービス・ショートステイの利用はできない

・ケアマネジャーやスタッフと合わないと充実した生活が送りにくくなってしまうため、できるだけ見学時にどんなスタッフがいるのかを確認、質問してミスマッチを防ぐことが重要である

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この記事を書いた人

老人ホーム探しのリアルの中の人。日本のとある地域で数年前より老人ホーム紹介の仕事を始める。現在に至るまで、述べ1,000件以上の老人ホームの入居相談に対応。

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